投稿2012年ベスト10
戸嶋久さん(愛媛県大洲市)

 

新作篇とリイシュー篇に分けて、それぞれ十作ずつです。

新作篇



1. Mchoya & Nyati Utamaduni『China Nyemo』
 衝撃のヴォーカル・ミュージック。合唱によるポリフォニー。
なんと言って形容しても言葉が足らない感じがする物凄い一枚です。
音量を上げて聴いていると、後頭部がジーンと来ますね。

2. マレウレウ『もっといて、ひっそりね。』
 今年出たこのマレウレウの初のフルアルバムは、
あまり評価しないという人が多いみたいなのですが、
一体どこに耳が付いているのかと思います。大変素晴しい作品でした。
僕はこれを聴いてマジ疑似トリップ体験をしたので。

3. Sevval Sam『II Tek』
 今年はトルコ人歌手の新作に優れたものが多かったというのはさっきも述べましたが、
これが真打といった感じの二枚組でした。
特に二枚目に入ってからの、強い声でこぶしを廻す歌には本当に感動させられました。

4. Hassan Hakmoun『Spirit』
 『ミュージック・マガジン』ではこれが一位でしたね。
そこでも触れられていましたが、音楽家としての基礎体力の違いを世界に見せつけた傑作です。
音源は過去のライヴを編集したものですが、実に見事です。

5. Gnawa Diffusion『Shock El Hal』
年末ギリギリになって飛込んできたグナワ・ディフュジオンの再結成作。
アマジーグの音楽がさらに一段階段を昇ったことを表すポップな音作りが実に見事でした。
これは傑作。

6. Koo Nimo『Highlife Roots Revival』
 音楽的には全く新しいところのないこの一枚。タイトル通り
ハイライフのルーツであるパームワイン・ミュージックですが、なぜか個人的にツボでした。
多分自宅ガレージで録ったという親密感がいい。

7. Mose Fanfan『Musicatelama』
 モーズ・ファンファンは、フランコのところでギターを弾いていた人ですが、
今はロンドンで活動しているようです。実に伸び伸びとした演奏に乗って、
軽々と歌うモーズ・ファンファンが素晴しかったです。

8. Funda Arar『Sessiz Sinema』
 フンダ・アラールという人もトルコ歌手ですね。
この一枚は、全く知らないで先入観なしで買って聴きましたが、
一曲目のタイトル曲でのしっとりとした歌い方も素晴しかったです。
アレンジも素晴しい一枚です。

9. Mona Amarsha『Ya Nass Daloni』
 ここのところの湾岸ポップスの典型的なスタイルであるハリージを主に歌った一枚。
複数の打楽器でポリリズミックな感じの曲も素晴しいのですが、
僕はしっとりとしたバラードも大変気に入りました。

10. Mine Gecili『Gece Kirpikli Kadin』
 今年大変充実していた印象のあるトルコ人歌手のハシリとなった一枚。
ゼキ・ミュレンの作品を取上げて歌ったものですが、端正な歌声が大変好印象でした。

リイシュー篇

1. Montes y Manrique『1911- 2011, Cien Anos De Musica Peruna』
 第一位はこれ以外ありえないという感じの、
ペルーで二十世紀初頭に活躍したコンビの渡米録音二枚組。
ムシカ・クリオージャの貴重な音源。

2. Elvy Sukaesih『Purnama Collector Series』
 カセットでしか出ていなかったエルフィ・スカエシのプルナマ時代の音源を、
2in1の計三枚でリイシューしたもの。
やっぱりエルフィ・スカエシは魅力的ですね。
再認識。

3. v.a.『続、続々カワチモンド〜世界最強河内系SONGS』
 これは強烈。河内音頭はそこそこ聴いてきたつもりだったのですが、
まだまだこんな凄い音源が残っていたという証拠。
日本のレア・グルーヴという言い方もピッタリの強烈な二枚組です。
是非!

4. v.a.『Cumbia Cumbia』
 コロンビアの音楽であるクンビアのコンピレイション二枚組。
クンビアという音楽は、単独盤だとちょっと飽きちゃうようなところもあるのですが、
こういう編集盤でいろんな人の音源を並べて聴くと楽しいですね。

5. v.a.『Chanteurs Juifs D’Algerie: Patrimoine Musical』
 同じアルジェリア音楽でも、こちらはユダヤ人歌手の音源を集めたコンピレイションです。
今年出たアルジェリア音楽関連のアルバムでは一番よかった。

6. v.a.『Algerie: 50 Ans de Musiques』
 今年はアルジェリア独立五十周年ということで、
アルジェリア音楽のコンピレイションがたくさん出ましたが、
その中で一番気に入ったのがコレです。
ヴァラエティに富んでいて楽しかった。

7. 岸井明『唄の世の中〜岸井明ジャズ・ソングス』
 去年から今年にかけての<ニッポン・モダンタイムス>
〜ぐらもクラブ関連で、一番よく聴いたのがコレです。
コミカルに歌う岸井明のヴォーカルにすっかり魅せられてしまいました。

8. v.a.『Historia das Escolas de Samba』
 サンバのコンピレイション。サンバの四大エスコーラを一枚ずつ計四枚に収録したものです。
これも今年前半は大変よく聴きました。
マンゲイラは有名ですが、ポルテーラが充実していてよかったです。

9. v.a.『Feeling Feelin’: Late 1950’s - Early 1960’s Feelin’, Bolero and Cancion』
 これは個人的によく聴いたアルバム。
ホセ・アントニオ・メンデスの単独盤よりも聴きました。

10. v.a.『Turkish Tradition』
 トルコ音楽の基本的アイテムが今年登場しました。
今年はトルコ歌謡に優れた作品が多かったのですが、
それを良く理解するための四枚組です。
トルコ音楽にハマっている人だけでなく、これから聴こうという人にも。